真夏の夜のジャズ
【紹介文】
コンサート・ドキュメンタリーと、ポップ・カルチャーのタイム・カプセル。バート・スターンの『真夏の夜のジャズ』には、1958年ニューポート・ジャズ・フェスティバルの模様が、まさにその音楽のように、一見リラックスしているが、衝動的ですらあるアプローチで記録されている。スチール・カメラマンのスターンは、ナレーションをかぶせるようなドキュメンタリーのお約束を避け、リッチな色彩の映像でとらえた演奏と観客のセレブなムードを、ヨットのアメリカズ・カップ準備の様子と並列に取り入れながら、意図的にフェスティバルの大舞台と小さな会場のジャムセッションを行き来する。その課程で、アメリカン・ジャズが、その発展の歴史において、最も黄金に輝く瞬間を、彼は記録しているのだ。多様で、冒険心にあふれ、まだ広く受け入れられていた時代のジャズ。60年代に表面化する政治的・社会的混乱を数年後にひかえながらも、人種的偏見などないコミュニティーによって演奏され、まだロックやユース・カルチャーの影響を受けていなかったジャズ。スターンがフィルムを回していたのは、まさにジャズの牧歌的幸福に満ちた時代だったというのは大げさだが、まんざら嘘でもない。
強力なジャズ、ブルース、ゴスペル・ミュージシャンたちによるフェスティバルをもっと包括的に扱うことを犠牲にしてとった間接的なアプローチと素晴らしいまなざしだが、少々活気がなく感じられる。ルイ・アームストロング、アニタ・オデイ、マヘリア・ジャクソン、ダイナ・ワシントン、セロニアス・モンク、ゲリー・モリガン、そしてジョージ・シェアリングたちを、カメラが長く追い続けたのは、おそらく必然的なことだったろう。後期スタイルを好むファンにとってはエリック・ドルフィーやアート・ファーマーなど、ほかのミュージシャンたちがちらっとしか映らないことに不満を感じるかもしれない。クラシック・ジャズ創始者たちの演奏もこの作品には収められていない。ただ、スターンの素晴らしい映像構成をもってすれば、それらの省略は大目に見てもよいと思えるのだ。(Sam Sutherland, Amazon.com)
コンサート・ドキュメンタリーと、ポップ・カルチャーのタイム・カプセル。バート・スターンの『真夏の夜のジャズ』には、1958年ニューポート・ジャズ・フェスティバルの模様が、まさにその音楽のように、一見リラックスしているが、衝動的ですらあるアプローチで記録されている。スチール・カメラマンのスターンは、ナレーションをかぶせるようなドキュメンタリーのお約束を避け、リッチな色彩の映像でとらえた演奏と観客のセレブなムードを、ヨットのアメリカズ・カップ準備の様子と並列に取り入れながら、意図的にフェスティバルの大舞台と小さな会場のジャムセッションを行き来する。その課程で、アメリカン・ジャズが、その発展の歴史において、最も黄金に輝く瞬間を、彼は記録しているのだ。多様で、冒険心にあふれ、まだ広く受け入れられていた時代のジャズ。60年代に表面化する政治的・社会的混乱を数年後にひかえながらも、人種的偏見などないコミュニティーによって演奏され、まだロックやユース・カルチャーの影響を受けていなかったジャズ。スターンがフィルムを回していたのは、まさにジャズの牧歌的幸福に満ちた時代だったというのは大げさだが、まんざら嘘でもない。
強力なジャズ、ブルース、ゴスペル・ミュージシャンたちによるフェスティバルをもっと包括的に扱うことを犠牲にしてとった間接的なアプローチと素晴らしいまなざしだが、少々活気がなく感じられる。ルイ・アームストロング、アニタ・オデイ、マヘリア・ジャクソン、ダイナ・ワシントン、セロニアス・モンク、ゲリー・モリガン、そしてジョージ・シェアリングたちを、カメラが長く追い続けたのは、おそらく必然的なことだったろう。後期スタイルを好むファンにとってはエリック・ドルフィーやアート・ファーマーなど、ほかのミュージシャンたちがちらっとしか映らないことに不満を感じるかもしれない。クラシック・ジャズ創始者たちの演奏もこの作品には収められていない。ただ、スターンの素晴らしい映像構成をもってすれば、それらの省略は大目に見てもよいと思えるのだ。(Sam Sutherland, Amazon.com)
【評価】 平均評価: 4.5/ 総数: 10件
ダマされてよかった盛岡市内の今はない映画館で自主上映会があり、はじめてこの映画を見た。もう30数年前のことだ。スクリーンに登場するジャズミュージシャンにただただ感激した。なにしろ、外国のミュージシャンの画像なんて、まず見る機会がない時代だったのだから(東京と違って、コンサートもそんなになかった)。
ジャズミュージシャンもさることながら、客席の雰囲気にも魅了された。あるいは、むしろその影響のほうが多かったかもしれない。
後年、聴衆のシーンの多く(アイビールックの若者たちが体を揺らして聴いているシーンなど)が、別撮り(今ならヤラせなどと批判されるかもしれないが、そんな野暮は言いっこなし)だったと知って、「まんまとだまされた」と苦笑い。それでも、やっぱりこの「ドキュメンタリー」は名作だ! (2006-11-27)
ジャズミュージシャンもさることながら、客席の雰囲気にも魅了された。あるいは、むしろその影響のほうが多かったかもしれない。
後年、聴衆のシーンの多く(アイビールックの若者たちが体を揺らして聴いているシーンなど)が、別撮り(今ならヤラせなどと批判されるかもしれないが、そんな野暮は言いっこなし)だったと知って、「まんまとだまされた」と苦笑い。それでも、やっぱりこの「ドキュメンタリー」は名作だ! (2006-11-27)
アニタ・オディを追悼し、極めつけのジャズ・ライヴ映画での、彼女の至福の歌声を堪能しよう! ロバート・アルトマン、フィリップ・ノワレ、そして、アニタ・オディと、ここ数日の相次ぐ著名人の逝去に、ちょっとBlueな気持ちになっている。で、彼女の最高のパフォーマンスを再見するべく、今作を久しぶりに観なおしてみた。1958年ロードアイランド州ニューポートで開催されたjazzフェスティバルの記録映画として傑作と名高い今作、セロニアス・モンク、エリック・ドルフィー、ジェリー・マリガン、ソニー・スティット、ベン・ウエブスター、ダイナ・ワシントンに、ルイ・アームストロングと言った伝説の巨人たちが次々に登場、時に粛々、時に豪放、そして総じて悦びに満ち溢れた演奏を聴かせてくれる合間に、ライヴ会場周辺の街並をスケッチしたフォトジェニック的な美しさと、聴衆の陽気でユーモラスなリアクションと仕草がシンクロする写真家でもある監督のダニエル・スターンの粋で凝った構成にため息ものだが、他のレビュアーの方たちが挙って絶賛するように、最も印象に残るアーティストはアニタ・オディである。黒のノースリーブ姿に羽の付いた黒いハットの全身黒ずくめのスタイルで、エレガントに、クールに、"Sweet Geargia Brown"でウォーミング・アップした後の、"Tea For Two"でのスインギングな躍動感は、その場に居合わせた者皆が、思わずリズムを取りたくなる一体感に満ち溢れて、jazzという音楽を聴く至福感を感じさせる名シーンだ。 (2006-11-25)
ライカビット先輩レビュアー氏が書いておられるように、本作の白眉はアニタ・オディだと思う。
「夜」じゃなく真っ昼間なのが皮肉だけど(笑)。
聴衆も東海岸のハイソな雰囲気があってお洒落。
Leicavitつけたライカ3fを構えた女性が、カメラを縦に構える一瞬と、
頭だけで軽くスイングしている中年夫婦が格好良い。
当時の風俗までうかがい知ることが出来る、
単なるジャズオタ向けの記録映像にしなかったことは立派。 (2006-09-12)
「夜」じゃなく真っ昼間なのが皮肉だけど(笑)。
聴衆も東海岸のハイソな雰囲気があってお洒落。
Leicavitつけたライカ3fを構えた女性が、カメラを縦に構える一瞬と、
頭だけで軽くスイングしている中年夫婦が格好良い。
当時の風俗までうかがい知ることが出来る、
単なるジャズオタ向けの記録映像にしなかったことは立派。 (2006-09-12)
アニタがキュートこの映画に出会ったのは、学生時代だった(リバイバル上映)。
当時、ジャズにのめり込み始めた頃だったので、すごいインパクトがあったと
記憶している。
当時、ジャズにのめり込み始めた頃だったので、すごいインパクトがあったと
記憶している。
久しぶりにDVDで見た。
1958年当時のミュージシャンたちの動く姿、しかもカラー、にはすばらしい
ものがある。
が、それ以上に冒頭のヨット、客席のウッドチェア、観客のファッション、
会場の雰囲気.....思わずうっとり。
1958年といえば、マイルス・デイビスが音楽を手がけた仏画『死刑台のエレベーター』
が、また日本では石原裕次郎の『嵐を呼ぶ男』が封切られた年。
当時の日本は、モダンジャズ(ファンキージャズ)ブームの前夜。
秋吉敏子、守安祥太郎らによって始まったビバップが実を結び、白木秀雄、
松本英彦、宮沢昭、渡辺貞夫らがモダンジャズのアルバムをリリースしていた時代だ。
日本、アメリカ、フランス...映画から当時に思いを馳せるとなかなか面白い。
さて、映画の登場ミュージシャンだが、モンク、ドルフィー、チコ・ハミルトンなどが
さすがにすばらしい。
でも、なんといっても出色のデキは、「スウィート・ジョージア・ブラウン」、
「二人でお茶を」の2曲を披露するアニタ・オデイだ。
ステージに登場すると、そこに大きな花が咲いたよう。
帽子がとてもキュート。
こんなジャズ・フェスがあったらいいのに....
以前は日本でもそこそこ良いジャズ・フェスがあったんだがなぁ。 (2005-09-02)
当時としては画期的だったが、映像記録としてはイマイチ製作当時は、カラー映像によるジャズミュージシャンの演奏が見られる事が画期的だったのだが、今見直すと、ミュージシャンの演奏画像に重点が置かれていない事に不満がつのる。セロニアスモンクの演奏途中で全く無関係な風景が映し出されるが、ファンとしては、彼の指先まで見たいという欲求を満たしてくれないので、もし、演奏中心のフィルムが残っていたら、ディレクターズ・カット版として、再編集して、全てのミュージシャンの演奏をボックスセットで発売して貰いたいと、思わず願ってしまうのは、ジャズファンみんなの希望ではないだろうか?コンプリート・ボックス発売を切に願うのは、私だけではないだろう。 (2005-04-04)
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